「この素晴らしい物語に祝福を!(以下このすば)」は、原作者の暁なつめ先生のライトノベルをアニメ化した、なろう発の異世界転生ファンタジー作品です。
この記事では「このすば」がなぜ、こんなにもファンの心をとらえて離さずに「面白い」のか理由を解析して考察していきます。
『この素晴らしい世界に祝福を』の基本情報
このすばの概要を振り返るために原作とアニメについて、作品のこれまでを年表で振り返ってみましょう。
外伝・スピンオフ作品などは除外しています。
年 | 概要 |
2013 | 「小説家になろう」作品をリメイクし角川スニーカー文庫より発売される。 |
2014 | 『月刊ドラゴンエイジ』で漫画版が2014年10月号より連載開始。 |
2016 | TVアニメ1期(全10話+OVA1話)放送。第1巻から第2巻までが範囲。 |
2017 | TVアニメ2期(全10話+OVA1話)放送。第3巻から第4巻までが範囲。 |
2019 | 劇場版このすば「紅伝説」原作第5巻がベース。 |
2020 | このすば「ファンタスティックデイズ」ゲームアプリ配信開始。 |
原作本編が17巻で完結。(短編集込みでは全19巻) | |
2021 | 公式ツイッターで新作アニメ制作発表。詳細未定。 |
2016年から2017年にかけて、2期20話+OVA2話がTVアニメ化しました。
劇場版がアニメ化されたのち、2020年ゲームアプリの配信が開始され、原作が完結しています。
新作アニメ情報
2021年7月に公式ツイッターより、ファンが待ち望んでいた新作アニメの制作情報とキービジュアルが公開され、続編の制作が決定していることが発表されました。
2021年9月時点では公開時期や発表媒体などの詳細は不明ですが、ファンの期待は高まっています。
あらすじ
交通事故(!?)によりあっけなく人生の幕を閉じるはずだったゲームを愛するひきこもり・佐藤和真(カズマ)は、ひょんなことから、女神・アクアを道ずれに異世界転生することに。
「RPGゲームのような異世界で、憧れの冒険者生活エンジョイ!めざせ勇者!」
と舞い上がったのも束の間、転生したカズマには厄介なことばかり降りかかる。
トラブルメーカーの駄女神・アクア、中二病をこじらせた魔法使い・めぐみん、妄想ノンストップな女騎士・ダクネスという、能力だけは高いのにとんでもなく残念な3人とパーティを組むことになったり、借金で首が回らなくなったり、国家転覆罪の容疑で裁判にかけられたり、魔王軍の幹部を討伐したり、たまに死んだり……。
そんなある日、駆け込んできた紅魔族の少女・ゆんゆんの爆弾発言にカズマたちは凍りつく。
「私、カズマさんの子供が欲しい!」
事情を聞けば、めぐみんとゆんゆんの生まれ故郷「紅魔の里」が、滅亡の危機に瀕しているという。
里を救うために旅立ったゆんゆんを追いかけて、紅魔の里へ向かうカズマたちだが――!?
カズマたちパーティを襲う最大の危機!平凡な冒険者カズマが過ごす、異世界ライフの未来はどっち!?
引用:このすば公式サイト「紅伝説」あらすじより
主要キャラクター
「このすば」には敵キャラですら魅力的で残念なキャラクターたちが数多く登場しますが、完璧超人なキャラクターはほぼ登場しません。
そのため、ダメパーティーなカズマたちが異世界を冒険する様子は、ファンタジーでありながらどこか等身大で親しみやすい部分があって、失敗ですら楽しめます。
そんな、残念で親しみやすく魅力的なキャラクターたちをご紹介していきましょう。
カズマ
転生前本名 | 佐藤和真(さとう・かずま) |
年齢 | 16歳→17歳(原作書籍版) |
身長 | 165cm |
誕生日 | 6月7日 |
あだ名 | ヒキニート・クズマ・ゲスマ・ロリマ(主にアクアに命名され街の噂となる) |
愛刀 | ちゅんちゅん丸 |
所有スキル | スティール・「ん!ソゲキっ!」・ジャンケン無敗・鍜治・ドレインタッチ他 |
声優 | 福島潤 |
あらすじでは、佐藤和真が転生した原因は交通事故(?)と書かれています。
しかし、本当の死因は「ショック死」。
女子高生がトラックに轢かれそうになったと勘違いして、かばったつもりで失禁して心臓麻痺を起こしたのです。
主な得意技はスキルを使ったズルくてこすっからい作戦で、この戦法で、数々の魔王軍幹部と渡り合い勝利してきました。
”真の男女平等主義者”を自称しており、女相手でもドロップキックを喰らわせられるというヤルときはヤル男。
ポンコツなパーティーでリーダーらしからぬ言動はありますが、「しょうがねーなー」という口癖で仲間のピンチにはしぶしぶでも結果を出す、意外とできる男です。
アクア
正体・教団 | 女神アクア・アクシズ教団 |
誕生日 | 8月1日 |
あだ名 | 駄女神・借金の女神・貧乏神・アクア様 |
特技 | 内職・左官・アルバイト・泣き芸・夫婦漫才(相方:カズマ) |
職業 | アークプリースト(知力と幸運値はカンスト) |
所有スキル | アークプリーストの呪文・花鳥風月(水芸)など |
秘技 | ゴッドブロー(右腕)・ゴッドレクイエム(左腕)・女神スキル(暗視)など |
声優 | 雨宮天 |
アクアは何をやっても失敗して自爆するマッチポンプの天才で、アンデッドにたかられるほど神聖さが駄々洩れする駄女神。ムダに手先が器用で多芸ですが、最後には泣かされて自業自得のトラウマを作ります。
カズマの転生の際に担当女神として登場しましたが、さんざんコキ下したカズマに道具として異世界に強制的に連行されてからは、相棒としてパーティーを組みました。
秘技は「女神の怒りと悲しみを乗せた拳」ゴッドブローと「女神の愛と悲しみの鎮魂歌」ゴッドレクイエム(アニメオリジナル)。
どちらも元ネタは「リングにかけろ」の剣崎順のフィニッシュブローと思われ、配信サイトのコメントなどでツッコミが入ることもあります。
めぐみん
出身 | 紅魔族 |
誕生日 | 12月4日 |
年齢 | 13歳→14歳(原作書籍版) |
あだ名 | 頭のおかしい紅魔の娘 |
特技 | ザリガニ取り・蝉取り |
職業 | アークウィザード |
所有スキル | 爆裂魔法(エクスプロージョン)のみ |
声優 | 高橋李依 |
めぐみんは中二病属性がデフォルトで装備されている、紅魔族のアークウィザードにして爆裂魔法を操る魔法使いです。
爆裂魔法しか使うことができないうえに、一発撃つと魔力が枯渇して動けなくなるので他のパーティーではお荷物扱いでした。
パーティーに入れてくれて冒険に出てもカズマに背負われて帰ることが多いことから、現段階では恋愛感情はともかくカズマには感謝しています。
家族は紅魔の里に住んでおり、父はひょいざぶろー、母はゆいゆい、妹はこめっこ、ペットは暴虐の魔獣ちょむすけ(メス)の4人1ペットの家族構成です。
魔王軍幹部ベルディアの居城にそれと知らずに爆裂魔法を打ち込み続けたため、それ以降のアクセルの街では「頭のおかしい娘」と呼ばれています。
ダクネス
本名・出身 | ダスティネス・フォード・ララティーナ・ダスティネス家令嬢 |
誕生日 | 12月4日 |
年齢 | 18歳(原作書籍版) |
特技 | 馬鹿力(攻撃はノーコンで当たらない)・防御力 |
信仰 | エリス教徒 |
職業 | クルセイダー |
所有スキル | デコイ(使わなくてもアタリに行く) |
声優 | 茅野愛衣 |
ダクネスはダスティネス家のお嬢様にして貴族の娘「ララティーナ」が本名の冒険者で、「クッコロ」展開に憧れるドMな変態趣味を持っています。
カズマからは身体を舐めまわすような視線を感じていて、むしろご褒美としてまんざらでもない様子です。
戦闘では盾と言うよりも肉の壁として、攻撃を一手に引き受ける防御力の固さには定評があるものの、攻撃は不器用すぎて役に立ちません。
仮面の悪魔バニルに乗り移られるとバニルによって攻撃が当たるため、防御力と魔法耐性を持つ屈強な戦士となります。
ウィズ
名前・種族 | ウィズ・リッチー(不死の王) |
誕生日 | 20歳(リッチーとなり不老不死となる)永遠の20歳を主張(原作) |
あだ名 | 貧乏店主・氷の魔女 |
特技 | 頑張って働けば働くほどに貧乏になっていく |
職業 | 元アークウィザード→魔道具店店主 |
所有スキル | ドレインタッチ・テレポート・カースドクリスタルプリズン・爆裂魔法他 |
声優 | 堀江由衣 |
ウィズは元凄腕の冒険者で引退後はアクセルの街で魔道具店を営む貧乏店主として、人々に尊敬されたり「貧乏店主」として愛されています。
冒険者時代は「氷の魔女」と呼ばれたアークウィザードで、リッチーとなった後は名前を貸し魔王軍幹部として結界の維持のみ協力していました。
カズマたちの冒険に同行することも多く、何もない日は同じ魔王軍幹部のバニルを店員として雇い、お店を運営しています。
カズマとウィズとの出会いはアニメ化されていませんが、ウィズが永遠の20歳で、中の人が「永遠の17歳」教の幹部のため、何らかの忖度があったのか触れてはいけない話題です。
どうして「この素晴らしい世界に祝福を」は面白いのか?
どうして「この素晴らしい世界に祝福を」は面白いのかという疑問には、次のようにいくつかのポイントがあります。
- ギャグ盛りだくさんのストーリー
- 魅力あふれるキャラクター
- テンポいい掛け合い
- 恋愛に頼らないストーリー
- 意外と迫力ある戦闘
「このすば」がファンから面白いと思われているところはどんな要素があるか、ポイントごとに解析していきましょう。
ギャグ盛りだくさんのストーリー
アニメ「このすば」には異世界転生ものにありがちな「俺Tueee」展開が無く、コメディとしての面白さがあります。
ネタとしては「貧乏ネタ・残念キャラ・夫婦漫才・宗教勧誘・下ネタコント」など幅が広いのでコメディとして、いつ見ても面白いコント的な楽しみ方ができます。
最近では、地上派TVではコンプライアンスの問題でお笑い芸人ですら過激なコントができません。
フィクションで面白いコントが見られる「このすば」は、貴重な作品です。
魅力あふれるキャラクター
原作からキャラクターがコメディタッチで描写されている「このすば」は、それぞれに人間臭い魅力があります。
残念系ヒロインばかりですが、ダメなところが可愛く変顔や下ネタにも対応できるお笑い偏差値が高いところが魅力的です。
パーティで最も変顔が似合うキャラはアクアだと考えられ、作品中で発狂したり泣き芸を披露したりする場面は、ある種の小動物的な可愛さがあります。
テンポいい掛け合い
カズマとアクアの夫婦漫才は、「このすば」における定番のシチュエーションとして登場します。
ヒロインとしてはカズマの中で失格のアクアですが、お笑いコンビの相方としては最高らしく、様々な場面でコントのようなテンポの良い掛け合いを見せてくれます。
ボケ担当アクアとツッコミ担当カズマのコンビは、新作でどのようなコントを見せてくれるのか楽しみですね。
恋愛に頼らないストーリー
パーティーの恋愛事情は全員残念なキャラクターばかりで、進展していくのが難しい模様です。
普通の異世界転生アニメではハーレム展開となっていきそうなのですが、カズマのクズさを知っているヒロインたちが警戒心を持っているのが原因でしょう。
劇場版「紅伝説」では、カズマとめぐみんがカップルになりそうな同衾イベントが発生していたので、どうなっていくのか今後の進展が気になります。
それぞれのヒロインをカズマがどう捉えられているのか復習してみましょう。
- アクア:馬小屋生活中にヒロインとして見ようとしたがダメだった
- めぐみん:背負って帰るとき背中に当たる胸の感触を楽しんだ
- ダクネス:お前の名前はおっぱいだ
女性キャラがカズマのセクハラ発言に全員(?)ドン引きしているところから、恋愛関係に頼ったストーリーにするには無理があるようです。
意外と迫力ある戦闘
デストロイヤー戦・ハンス戦・シルビア戦などは、このすばのファンタジー要素が全開となるド派手な戦闘シーンが描かれています。
作画力をここに全振りしていると言っても過言ではないほど、日常シーンとの差を見ることができます。
普段ちゃらけたメンバーが戦闘で活躍するカッコよさは、ギャップ萌えをする魅力があります。
「このすば」はこんな人におすすめ
このすばファンはどんなところを面白いと感じているのでしょうか?
ツイートをご紹介しながら考紹介していきます。
ギャグアニメが好きな人
このすばめちゃくちゃ面白い。ギャグの完成度が異様に高い。
— tghr_hys (@tghr_hys) September 6, 2021
グダグダ感のコメディ系が好きな人
クズなりの魅力がある主人公が好きな人
面白くない作品で思い当たる要素って主人公に魅力が無かったり最悪嫌いになってしまう所かな
逆にこのすばとかは、カズマがクズと呼ばれてても魅力あったから面白いけど— コガラシ (@garaXYp) September 5, 2021
まとめ
「このすば」がなぜファンに愛されているのかを解析しつつ考察してきました。
異世界転生ファンタジーでありながら「俺Tueee」の嫌味な感じがなく、カズマたちの残念だけど楽しい異世界の日常は、私たちの現実のアレコレを忘れさせてくれる魅力的な冒険譚です。
新作の詳細情報はまだこれからですが、これからも楽しい異世界生活を疑似体験させてくれる物語に期待が高まります。
コメント